新緑がまぶしい季節になりました。毎年、5月になると旬の食材や花が、春から初夏への移ろいを教えてくれます。野菜なら、新じゃが、新玉ねぎ、アスパラガス、そら豆。みずみずしく生命力にあふれた味わいは、この時期ならではのものです。海鮮なら、鰹や鯵、いさきも美味です。花もまた美しく、薔薇、芍薬、藤、そして菖蒲。春の可憐さとは少し違う、凛とした華やかさを感じます。
一方、俳句の世界では、5月にもかかわらず、薄暑(はくしょ)や麦秋(ばくしゅう)という初夏の季語が使われます。薄暑は、夏の入り口の少し汗ばむような陽気。麦秋は、黄金色に実った麦畑を表す言葉です。秋の字が入っていますが、実は初夏の季語です。これは、昔の人が、今だけではなく「これから訪れる季節の気配」まで感じ取っていたからだと言われています。
この感覚は、人材育成に似ていると感じます。今できることだけを見るのではなく、その人の中にある「これから伸びる力」をみつけようとする。新人だから未熟だとか、経験が浅いからできないなど、そう決めつけるのではなく、「これから、この人はどんな花を咲かせるだろう」そんな視点を持って接する。それができた時、教育は、指導から成長を支える時間に変わっていくのだと思います。
自然は決して急ぎません。それでも確実に季節は進みます。人の成長も同じです。5月の風景のように、少し先の未来を感じながら、人と関わっていきたいですね。