最近、「サードプレイス」という言葉を耳にする機会が増えました。サードプレイスとは、アメリカの社会学者レイ・オルデンバーグ(Ray Oldenburg)が著書『The Great Good Place』(1989)で提唱した概念で、「家庭(ファーストプレイス)」「職場(セカンドプレイス)」に続く、第三の居場所を意味します。
そこは肩書や立場にとらわれず、人と人が自然につながり、新しい発想や価値観に出会える場所です。
先日、異業種交流会に参加する機会がありました。
参加されていたのは、経営者、教育関係者、IT、福祉、製造業など、本当にさまざまな分野で活躍されている方々。普段、歯科医療の世界ではあまり耳にしない考え方や仕事への向き合い方に触れ、とても新鮮で刺激的な時間となりました。
歯科医療は専門性の高い素晴らしい仕事です。その一方で、同じ業界の中だけで学び続けていると、知らず知らずのうちに物事の見方や考え方が固定されてしまうことがあります。「それが当たり前」と思っていたことが、別の業界では全く違う発想で解決されていたり、逆に歯科医療で培われた考え方が他分野では高く評価されたりすることもあります。異なる世界の人と対話することで、自分自身の「当たり前」が広がり、新しい視点を得ることができます。それは単に知識が増えるだけではなく、自分の仕事を客観的に見つめ直す貴重な機会にもなります。
私は歯科衛生士として、そして人材育成や組織づくりに携わる中で、「人は人との出会いによって成長する」と感じる場面を何度も経験してきました。だからこそ、サードプレイスは単なる居場所ではなく、自分自身を成長させてくれる「学びの場」でもあるのだと思います。歯科医療界の中だけでは出会えなかった価値観や考え方に触れることは、自院の組織づくりや患者さんへの対応、そして人材育成にも、新しいヒントを与えてくれます。これからも専門性を磨きながら、時には業界の外へ一歩踏み出し、多様な人との出会いを大切にしていきたいと思います。サードプレイスで得た学びは、きっと歯科医療という「ホーム」に戻ったとき、より豊かな実践へとつながっていくはずです。