若い世代ではテレビを観ない人が多く、テレビすら持たない人も増えているそうです。
そういう私も、今ではスマホで好きな番組を観ることがほとんどです。中でも、NHKのドキュメンタリー番組「映像の世紀 バタフライエフェクト」は、欠かさず視聴する番組の一つです。
「バタフライエフェクト」という言葉は、気象学者エドワード・ローレンツが1972年に行った講演のタイトルに由来するといわれています。「ブラジルで蝶が羽ばたくと、テキサスで竜巻が起こるのか?」ほんのわずかな違いが、時間の経過とともに予測できないほど大きな違いを生み出す――。そんなカオス理論の考え方を象徴する言葉として、広く知られるようになりました。番組では、歴史上の人物や出来事が思いがけないところでつながり、その小さな連鎖が、やがて世界を大きく動かしていく様子が描かれます。
考えてみれば、これは歴史の中だけに起こることではないのかもしれません。私たちの日常にも、小さな「バタフライエフェクト」はたくさんあります。誰かに何気なくかけてもらった一言が心に残り、その言葉に背中を押されて新しいことを始める。たまたま参加した会で隣り合わせた人との出会いが、その後の仕事につながる。何気なく手にした一冊の本が、自分の考え方を変える。いつもとは違う道を歩いたことで素敵なお店を見つけ、そこから新しい人との縁が生まれる。その瞬間には、それが自分の未来を変える出来事だとは誰にも分かりません。
そして、面白いことに、反対のこともあるように思います。「今日はやめておこう」、「また今度でいいか」、「私には関係ない」、そんな小さな選択もまた、その先にあったはずの出会いや経験を変えているのかもしれません。人生を振り返ってみると、大きな決断だけで今の自分ができているわけではないことに気づきます。あの日、あの場所へ行ったこと。あの人に声をかけたこと。誰かの誘いに「行ってみよう」と答えたこと。そして、うまくいかなかった出来事さえも。
一つひとつは小さな出来事でも、それらが複雑につながり合って、今の自分へと続いています。そう考えると、「偶然」という言葉だけで片づけてしまうには、少しもったいないような気がします。もちろん、今日の小さな行動が、どんな未来につながるのかは分かりません。だからこそ面白い。誰かへの「ありがとう」かもしれない。気になっていたことを始めてみることかもしれない。久しぶりの人に連絡してみることかもしれない。
今日のほんの小さな羽ばたきが、いつか自分自身や誰かの未来を少しだけ動かしているかもしれません。そう思うと、何気ない一日も少し違って見えてくると思います。
さて、今日あなたは、どんな小さな羽ばたきを起こしますか。
2026.10.05